空想は小説より奇なり

自作小説の連載です 立ち読み大歓迎です
その気になれば細分化も可能
このところコンビニの深夜営業を自粛して欲しいと、各地の自治体から要請が相次いでいる。
その理由はCO2排出量を抑制するためだという。
これに対しコンビニ業界は、深夜営業をしないとしてもその抑制量は0.009%だとし、いまや派出所が無人化してその代わりとしての役どころを担っている面もあると反発している。

確かにそういう面もあるだろう。
昼夜問わず道を聞きたくなったとき近くに派出所があれば別だが、あったとしてもほとんど不在で聞くことができないのが現状だろう。
そんなときは確かに、コンビニはあっちこっちにあって聞くことは可能だ。
だが、そのコンビニの人間が果たして道案内をできるかといえば、都内の場合半分の確立で要領を得ないことがほとんどだろう。
理由は、経営者以外はその所在地に住んでるとは限らないからだ。

また、コンビニの店舗は深夜の無人の派出所変わりに、何かあった場合の駆け込み寺的存在になってるとも、業界では反発を強めている。

これも確かに一理はある。
だが、その反面コンビニ自体が強盗に襲われるという事件があるのも事実だ。
昔の強盗といえば少なくても100万単位の金額が多かったのに対し、テレビで報道されるコンビニ強盗の場合は数万円単位が圧倒的に多い。
これは、それだけコンビニなら強盗しやすいということを裏付けていることになるだろう。
ということは、コンビニが駆け込み寺の存在になっているというのは、諸刃の剣になるのではないだろうか・・・

コンビニやファーストフード業界は新規出店数よりも閉店数のが上回るという逆風が吹き荒れている今、各本部は何が何でも利益確保をと奔走しているのが実情だと思う。
それでコンビニとファーストフードの複合店を出したり、大学や病院内に店舗を構えたりと、ありとあらゆる新手の手段で利益を図っている。
企業としては当然のことだろう。

だが、待てよ!なのである。

赤字でいつ倒産するか分からないというのなら、それも良しとしよう。
コンビニのオーナーが思ったように利益を上げられずサラ金から借金をするというのを聞いても、コンビニやファーストフードなどの一連の社員が生活苦に陥ってるなど、聞いたことがない。
テレビでコンビニの新商品開発の舞台裏をとりあげているのを何回となく見たことがある。
テレビはそういった社員達の奔走ぶりを称賛することが多い。
何度も何度も試作品を作り直すのは大変なことだが、それはコンビニ業界に限ったことではない。
たとえば工作機械の試作品など、100分の1単位の精度を求められる。
その工賃も安く、納期に間に合わなければ取引続行が叶わないなどざらだ。
鉄の塊を旋盤などで油まみれになりながら、薄暗い電気の下で深夜まで加工する町工場の職人と経営者達。
彼らは仕事がなければ、いつ路頭に迷うか分からない状態の者が多いと聞く。
そういう状態なら深夜営業も何も規制するほうがおかしいが、コンビニ業界でそんなことを聞いたことがない。
現にセブンイレブンなど、本家のヨーカ堂より利益を上げているのだ。
そしてセブン銀行を立ち上げ、今やトヨタに匹敵する日本の大企業になっている。


そんなコンビニ業界にCO2排出量抑制の要望を出した自治体。

その目的は本当に二酸化炭素の排出量抑制だけなのだろうか?
私はそうとは思わない。
なぜかといえば、夜遅くまでコンビニやファミレスなどでたむろする未成年達の非行化を防ぎたいというのが、自治体の本音だと思うからだ。

中学生から高校生達の未成年の行動時間として、昔なら朝は7時過ぎに家を出て、夕方の4時頃に帰宅するのが一般的だった。そして学習塾に行ったとしても7時にはだいたいが夕飯を済ませ、その後家を出ることなど、両親が許すことなどまずなかった。
そういった生活パターンが崩れてしまった。
共稼ぎが多くなったからだ。
昔なら、あの子の家はお母さんも働いてるのよと、陰口を叩かれた風潮などどこ吹く風だ。
それに伴い、家族揃っての夕餉などないというのはごく普通になっているのかもしれない。
その結果得るものといえば、海外旅行やマイホームといったものだろう。

私はそんなものを得るなら、例え収入が少なくとも家族団欒のが絶対にいい。
そうするためには稼ぎ頭が職住接近というのが理想だが、現実としては難しい。
それでも、家族団欒の時間をもつための苦労は惜しまないだろう。
母親は家事全般を担い、夫は収入を得る。
子供達はそんな両親を尊敬する。
こんなことを書くと、男尊女卑だ。封建的だという声が聞こえそうだが、そういう時代に育った私は、何がなんでも利益追求第一主義の企業。
そして、そういう企業のコマーシャルベースに乗せられ消費する人間。
そういった環境が何でも金、金という時代にしていったような気がしてならない。

ひとつの店に行けばだいたいのものが手に入るコンビニやスーパーは確かに便利だが、それは個人商店や地元のマーケットなどで買えない物の、補助的存在であって欲しかったというのが私の言い分だ。
その陰で消えていった多くの個人商店。
これらの店が現存していればコンビニやスーパーなどなくても、生活に不自由することないだろう。
不自由するとすれば、手間隙かけて調理することぐらいではないだろうか?

そういった家庭料理の味が薄れ、味噌汁さえつくれない人間が多い現実。
これは人間を駄目にしていく過程に過ぎない。
行く末は、何でもコンビニやスーパーで買わなければ口にできなくなる食べ物。
ラーメンや日本蕎麦が食べたくても、大資本をバックにチェーン展開する店でしか、そういうものも食べられない時代は、そう遠くはないだろう。

CO2が大量発生してるためオホーツク沿岸の流氷量と漂着日数が激減してるという。
そのためにアザラシが薄氷にしか乗れず、死亡件数が増加してるという。
これは温暖化の最たる事例だろうが、動物だけでなく、人間が住んでいるハワイ4島のうちひとつは水没してしまうという推測もある。
そういう近未来への警鐘を、「風越峠」の田舎っぺという店で表現しているんですけど・・・
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スレッドテーマ:小説・文学 つぶやき
東京は入梅してから早半月だというのに、たいして雨の降る日はないようです。

でも、今朝起きてみれば霧雨でした。
そして思ったのは竹内まりやさんの「駅」という歌でした。
この歌にはある女性との思い出があり、忘れがたいのも事実ですが、それ以上に歌詞がいいのが何よりです。

見覚えのあるレインコート
黄昏の駅で 胸がふるえた
速い足どり まぎれもなく
昔愛してた あの人なのね
懐かしさのいっぽ手前で
こみあげる苦い思い出に
言葉がとても見つからないわ
あなたがいなくても こうして
元気で暮らしていることを
さりげなく 告げたかったのに

胸を締め付けられるそんな歌を、メディアが持ち上げるものだから、大物だと錯覚したメディアプロデューサらしきまやかし者が、意気込んで映画を製作したことがありました。
かなり話題を読んだ作品だったけど、キャストを見ただけで見る気がなく、しばらくしてビデオを借りたものの、やはり途中までしか観ませんでした。
最後まで観なくてよかったと思っています。
なぜって、陳腐なストーリーとキャストに、この素敵な歌詞が台無しにされるだけだからです。
だから、後悔してませんね、観なかったことには・・・

そういった私の雑感はともかく

ラッシュの人波にのまれて
消えてゆく後姿が 
やけに悲しく心に残る
改札口を出るころには
雨もやみかけたこの街に 
ありふれた夜がやってくる


という最後のフレーズは、この季節にふさわしい歌詞だと思いませんか?

しっとりとした梅雨にふさわしい、竹内まりやさんの名曲を集めてみました。
最後の「家に帰ろう」は昨夜最終回だった「Around 40 注文の多いオンナたち」を観てて「幸せのものさし」の歌詞よりもこっちのがイメージとしてはあってると思ったので・・・
奇しくも同じ竹内まりやさんが歌ってるんですけどね・・・




告白


シングル・アゲイン


人生の扉


家に帰ろう
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スレッドテーマ:音楽 お気に入り&好きな音楽



笹沢佐保といえば「木枯し紋次郎」で、
あっしにはかかわりのねぇーことでござんす
といって、皆に背を向けてしまう。
その颯爽とした中村敦夫さんの浪人姿が格好良かった。
といっても、この時代劇はほとんど見たことがないのが悔やまれてしょうがない私ですが、小説ではほとんど読み漁ってしまった。

そんな氏の「日暮妖之介・暁に去る」は木枯し紋次郎を髣髴させるキャラクターで面白かった。
そしていま、「甲州道しぐれ笠ー姫四郎流れ旅」というのを読んでます。
これは医者の息子だが渡世人になり、そしてストイックな紋次郎とは正反対に人とのかかわりを積極的に求める。
時には女好きな一面も見せ、私にとっては作品自体だけでなく、笹沢佐保氏の内面性が窺えて非常に興味深いものとなっている。

私が笹沢佐保氏の小説を初めて手にしたのは二十歳頃だったと思うけど、性描写があったりの現代物だったが、つまらなくて途中で投げ出してしまった。
この当時は梶山季之、城山三郎、夏堀正元、新田次郎氏など乱読していたときで、少しでもつまらないと思うと二度と眼を向けない癖があった。
それが時を経ると、自分自身こうも趣味が代わるのかと呆れ返っている。

そもそも時代小説を読み始めるきっかけそのものが、コミックの「風林火山」でした。
武田信玄とその家臣だった真田一族。
とりわけ、真田昌幸と信之が好きで、真田太平記をはじめとした池波章太郎作品もかなり読みました。
史実を重視したそういった歴史小説もいいけど、人間そのものに重きを置いた笹沢佐保氏の時代物は、まさにエンターティメントそのもので、時間を忘れて深夜まで耽読してしまう。
もっと若いときに時代小説を読んでいたなら、私の人生観も少しは変ったもになっていたかもしれない。

そういう意味でも、笹沢佐保氏の膨大な作品群を少しずつ読み進めていきたいと思っています。

読むだけでなく、風越峠の続編を書かなきゃいけないんですけどね・・・(・・,)グスン

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スレッドテーマ:小説・文学 感想
好きな映画のひとつに「おもいでの夏」(Summer of '42)がある。
ストーリーは勿論のこと、主演女優のジェニファー・オニールの美しさに魅せられ、何回か繰り返し見た映画でした。
今もビデオで見ることがあるんですが、ハーミーのような健気で純粋な少年時代が自分にもあったのだと、女性を見るときにふと思い出されることがあります。
そして、年上の女性と少年との儚い恋の映画に相応しくも切ないほど甘美なメロディー。
この音楽なしでこの映画は成り立たなかったのではないだろうか?
とまで聞き惚れているサントラは最高です。
でも、それに負けず劣らずいい演奏があり、それで思い切ってYou Tubeをつくってみました。
何の技巧もないというか、ムービーメーカーのマニュアルを熟知しないまま、とりあえずこの音楽を皆さんに聴いて欲しいという思いだけでアップしてしまいました。
いつか、これは素晴らしいと思っていただけるようなユーチューブにしてみたいものです。



どうでしたか、このサウンドは・・・?
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スレッドテーマ:映画 映画音楽
Give me my HERSHEY.
日本の子供が進駐軍を見ればいう言葉がこれだった。
ハーシーがチョコレートのことだというのは、今の人間なら誰でも知っていることだろう。
敗戦によって少しは食糧事情がよくなったかといえば、必ずしもそうではなく、庶民にとってチョコレートやケーキなどは高嶺の花だった。
それだからこそ、「ギブ ミー マイ ハーシー」と、MPを見つけると馬鹿の一つ覚えのように連呼したらしい。

私はその時代にはまだ生を受けていないので、それを言ったことはないけど、それでも戦後の色がまだ残ってる時代に生まれたせいか、噴霧器でDDT消毒された記憶があるし、給食で鯨の立田揚げをよく食べたし、夏休み前には肝油を配られもした。
その小学校時代、放課後はよく多摩川の土手でソフトボールをやった。
そして桜坂を上っては竹の湯という銭湯へ、近所の昌ちゃんとよく行ったものだ。
この当時流行ってた歌は坂本九ちゃんの「上をむいて歩こう」とか飯田久彦さんの「ルイジアナママ」だった。
それを帰りにはアイスキャンデーを舐めながら、歌ったものだった。

中学から高校時代にかけては和製フォークソングやジャズにオールディーズを聴くようになった。
この頃はアイビールック全盛で、VANの紙袋を小脇に通学し、学ランの下はボタンダウンを着ていた。
スラックスは勿論細身のトップで、俗にいうマンボズボンのようなものを愛用していた。
ラジオではFM東海が初めて民法として開局され、それが現在のFM東京となったが、ここではよく映画音楽などのイージーリスニングを聞いていた。
フランシス・レイやカラベリなどが一日中かかってたような気がする。
そして、AMでは午後10時だか11時から始まるウルフマン・ジャックのDJを聴いていた。
これは主にオールディーズの曲で、私が小さいころ何気なく聞いていたというか、聴く気もなく耳に入っていた音楽を聴けた。
それが以下の曲です。

「オンリー・ユー」「マイ・ガール」など懐かしいものばかりです。
そんな音楽を聴きながら古き好き時代にタイムスリップしてみたくなりました。
1940年代から60年代に生まれた人たちは、チャック・ベリーのダックウォークも見られて懐かしいでしょうし、若い人たちには新鮮に感じられるドゥワップ調の曲は聴き心地のいいものではないかと思います。

The Platters - "Only You"


THE FLAMINGOS "I Only Have Eyes For You"


Five Satins - "In the Still of the Night"


The Temptations - "My Girl"


Bill Hailey and his comets-"Rock around the clock"


Chuck Berry - "Johnny B. Goode"


Diamonds-"Little Darling "


The Crests - "Sixteen Candles"


Johnny Burnette - "You're Sixteen"


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スレッドテーマ:音楽 洋楽無料フル視聴
「田舎に泊まろう」というのはタレントさんがある程度希望するところに行き、そこで見ず知らずの他人の家に泊めてもらうという番組です。
ご覧になった方ならお分かりかと思いますが、この番組ある程度の演出はあるものの、民泊についてはタレントさん任せのぶっつけ本番のようです。

今夜は「まんがはじめて物語」に出演していた岡まゆみさんが、高知県の吉野川流域で天然鰻を食べたいということでした。
ロケ日はあいにくの豪雨で鰻獲り名人の家は山奥ということもあり、撮影はかなりハードのようでした。
その主は獲った後は食べずに他人にやるということで、岡さんはめでたく大物の天然鰻を頂戴する次第。
案内してくれた漁協の方のお宅で蒲焼にしてもらい、ようやくご馳走に。
時計は既に8時ちかくで、しかもしのつく大雨。
彼女はここで民泊を申し込むが、奥さんの体調が悪いということで断られてしまうものの、他に泊めてくれるところを紹介してくれて大助かり。
民泊先の主は80を過ぎて読書が好きだというが、去年まで仕事をしていたという働き者。奥さんも調理師をしていたが、今は悠々自適の生活を送っている。
兄妹から譲り受けた家はぼろぼろだったので、それを建て直すために夫婦揃って働きづめだったという。
主は道路工夫を生業とし、それで建てたのは武家屋敷のような豪邸で、今ではそれが風情のある建物だ。

閑話休題

今日の昼、誰でもいいから殺したかったという者が、秋葉原で見ずず知らずの人間に車であてた挙句、7人を刃物で殺傷するという事件が起きた。
またしてもこういう甘ったれた大馬鹿者のために善良な人間の命が奪われてしまった。
誰でもいいんなら、自分で自分を殺せっていいたい。
他人の人生を、どうしてこんな奴が奪う権利があるのだ!
どうせ、裁判をしたところで、この男は精神鑑定に掛けられ、あわよくば無罪放免。悪ければ当然死刑になるが、この殺人鬼は電気椅子ではなく、亡くなった遺族たちに嬲り殺されて欲しい。
それぐらいのことをしなければ、この手の無差別殺人事件は無くならないだろう。
世の中が厭になった?
だったら、勝手に自殺すればいい。悲しむのはその人間の周囲だけで最小限で済む。
にもかかわらず、他人を巻き添えにし電気椅子で楽に死にたいという、甘ったれた考え方しかできない人間に命を奪われた遺族達の憤懣やるかたない悲しみは・・・

閑話休題

この夫婦の長男は高校生のときにバイク事故で他界し、番組途中で3人が涙ぐむシーンがあった。
原因はタイヤのパンクだったが、好きなバイクで事故死したのは本人の運命かもしれないということで、遺族としては若いのにという思いはあるものの、それなりに諦めもついていたのかもしれない。

そんな夫婦の人情に触れた岡さん。
翌朝には手縫いのブックカバーを主に、小物入れを奥方にプレゼントしていた。
赤の他人の好意に対する心ばかりのものだが、老夫婦にはいい記念になったに違いない。
知人の頼みということで、しかもテレビで放映され何もかも曝け出される可能性があるというのに、厄介な民泊を許可したこの夫婦の人間性。

同じ人間でありながら、どうして閑話休題のような鬼畜生ができてしまうのだろう・・・
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スレッドテーマ:心と身体 こころ
さっき「アンビリバボー」を見ていたらポール・ポッツがでていた。
彼の存在を知ったのは今年の初め頃だったが、
とにかく吃驚仰天させられたといっておきましょう。
何が吃驚かって?
ま、それは2本のビデオをじっくり見てください。
天はニ物を与えずというけれど、まさに、そのことを彼が証明しています。

風采の上がらないポール・ポッツに誰も期待していなかったが、
彼が歌いだした途端 、皆が・・・アラ?やるじゃない。
続く歌声に、観客が絶大な拍手を送り、いい意味で見事に期待を裏切られた審査員。
その3人の表情がなんともいえません。
とくに真ん中の女性審査員はしゃくりあげるような感じで涙を拭い、
人は見かけによらぬものと実感してる様子。

Paul Potts - First Audition Nessun Dorma MYSPACE


並み居る強豪を抑えてポール・ポッツの優勝です。
右端の審査員は、来週君のデビューアルバのレコーディングをしようとまでいってます。


Britains Got Talent FINAL RESULTS SHOW Paul Potts The Winner


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スレッドテーマ:音楽 オペラ
3 立志と煩悩

 いつになく遅い梅雨が明け、都会でも濁った青空の日が続くようになった。
 小此木陽太は終業式が済むと校門で待っていた父と、しばらくは学校やその周りを懐かしむように見ていた。
「どうだ?もう気が済んだか?それとも、このまま残ってもいいんだぞ」
「行く」
「そうか」
慣れ親しんだ道を自宅には戻らず、二人はそのまま駅に向かった。
家を見ておけばよかったかと後悔のようなものがあったが、八王子を過ぎ相模湖を抜けると両側に見える山並みの車窓に、陽太はすっかり旅人の気分でホームシックなどどこ吹く風といった感じだった。父の陽一郎が買ってくれたホットドッグを頬張りながら、彼は新天地の風越駅で降りた。
その陽太と夫を出迎えた小此木麗奈は、二人の肩に手をまわして抱き合った。
そんな家族を優しいまなざしで見ているのは万三郎だった。彼は挨拶もそこそこに、家族を風雲舎に案内した。
「奥さんも今日から風越荘でなく、ここに住むんですな」
「はい。色々と有難うございました」
「いいところじゃないか」
「なんにもないね」
「でも、陽太を苛める子はいないし、皆いい人ばかり」
「陽太君。ここは何もないから、自分で作らないとならないんだ。陽太君がいいの作れば、後から来る子だっていいのを作ろうとする」
「作るって、何を」
「君が欲しい物さ。何が欲しい?」
「アイスクリーム」
「それなら牛とか山羊を飼わないと駄目だな。乳を搾らないとならないしな」
「そんなの飼ったことないよ。犬なら小さいときいたけど」
「じゃ、やってみようじゃないか。牛は高いから、山羊にしよう」
「本当?」
「本当さ」
 陽太の目が生き生きしている。
「山羊って、髭あるんだよね」
「そうだ。愛嬌があって、可愛い奴だ」
「飼ってみたい。早く」
「じゃ、ちかいうち一緒に買いに行こうな」
「本当に、山羊を飼うんですか?」
「勿論です。本当なら牛を飼いたいけど、ここはそんなに牧草もない。でも、山羊ならなんとか飼えるし」
 麗奈は山羊のヨーグルトが好きだといい、陽一郎は息子だけでなく妻までがはしゃぐ姿に、ここへ来てよかったと思う。
 
 野瀬夫妻が開発したサンガのホットドッグは、魚肉に大葉と玉葱のみじん切りを混ぜることによって、生臭みがなくなるばかりか食感と味もよくなった。肉と違って脂分の少ない魚肉は焼くとぱさついてしまうが、片栗粉とオリーブオイルを繋ぎにすることで解消できた。
サンガは本来鯵や鰯を使うが、多くが山国に店を構える田舎っぺでは新鮮な魚介類は入手しづらい。そこで、使用する魚類は各店舗に任せた。それにより、一般に出まわることのない各地の地魚が利用できることもあるだろう。そういうことも念頭に置き、結衣は事細かなレシピを一ヶ月ほど前、田舎っぺのホームページで公開した。
オリーブオイルと酢が効いたドレッシングで和えた千切りのキャベツと魚肉との食感がいいと、何人かが書き込んだコメントを返している。
 実際、田舎っぺの店主もサンガを販売してはいるが、豚肉のホットドッグには敵わないのか、人気がないので作らないところが多いようだった。
ところが、人気のあるブログの管理人が田舎っぺのホームページを見て作ったところ美味しかったと書き込んだため、いっきに評判がたった。そうなると、田舎っぺの店頭には行列ができる始末だった。
「何でも宣伝の世界なのね」
「だなー。せっかく二人であっちこっち駆けずりまわってレシピを作ったところで、ほとんど見向きもされなかったのが、ブログのおかげでこの有様だからな」
 野瀬夫婦が苦笑してるところに春樹がやって来た。
「これにサンガのこと載ってるよ」
 春樹が見せたのは東京から来た客が置いていったタブロイド紙だった。
「へー。こんな新聞でも話題になってるのか」
「ドコサヘキサエン酸が含まれる魚のホットドッグは、子供の脳の発達にも効果ありだって」
「これを書いた記者も必死なんだろうな。ほんの少し魚を食べただけで頭がよくなるわけないのに、そうでも書かないと読者の目に留まらない。多分、そういうことでこれを書いたんだと思う。この記者は多分フリーで、人気がなきゃ契約を打ち切られるし」
「そうだろうな」
「ところでだ」
「うん?」
「田舎っぺのリベートを一律十パーセントに下げようと思うんだ」
 怪訝な顔をする野瀬夫婦に、春樹は続けていう。
「法人にしてても半分以上は税金だ何だで消える。それなら店主に安く卸した方のが喜んでもらえるだろう。野瀬の取り分は今までどおりにするから、それでやって欲しいんだ。お前に任すといっておきながら、いまさらこんなこというのは筋違いだっていうのは分かってるけど」
「でも、風雲舎でこれから必要になるんじゃないのか?」
「叔父さんに援助しようかっていったら、金じゃなくて知恵だけでいいっていわれた」
 変わった人がいるもんだと、春樹以上に無欲な万三郎に、野瀬は呆れ顔になった。
「分かった。今日からでも下げるようにしよう」
「済まないな」
「いや。そんなことない。元は村井の会社だし」
「それをいうなよ。今は野瀬に任してるんだからな」
「本当なら、あなたが村井さんが今いったことをいうべきだったのかもね」
「そうなんだよね」
 村井は野瀬結衣を見ながら応えた。
「って、ことは、社長としての俺がいわなきゃいけなかったってことか?」
「そうよ」
 妻と春樹が笑ってるのは、自分のことではないかと思う野瀬だった。
「俺の会社じゃなく、野瀬が社長で、千店舗の責任者だってこと、忘れるなよ」
 改めてそういわれると、震え始める野瀬だった。
「責任重大ね」
「他人事じゃないぞ。お前だって専務なんだからな」
 結衣が夫の健太郎を見つめ苦笑した。
「ところでだ」
「何だ。まだ何かあるんだ」
「泉町もいいところだけど、風越に引っ越さないか?」
「どういうことだよ?」
 万三郎が買い上げた小椋に建てた風雲舎の隣に、風越荘が引っ越すことになった。空き家になるその後釜にならないかと、春樹がいった。
「そういうことか」
「あぁ。風越の人口増加と分校を守るためにもなるし」
「うちには小さいのが二人いるからか」
「そうだ。無理にとはいわないけど、奥さんと相談して決めてくれないか」
「私は賛成だわ。駅に近いし、喜左衛門の美味しい料理を毎日食べられるしね」
 結衣は夫に考える間を与えることなく、春樹にお願いしますと応えた。
「おいおい。勝手に決めるなって」
「何いってるのよ。あなたは、風越の分校を潰す気?」
「否。そんなことはしないけど・・・」
「だったらいいじゃない」
「参ったな」
 過疎の町で育った結衣にしてみれば、廃校は他人事に思えなかったのだ。
 
風雲舎の子供たちの声が草原に響き、山羊の鳴き声は長閑だった。
風越荘が小椋で見返り桜荘として新装オープンしたのは、春樹の子供達がすっかり言葉を覚え、それぞれの個性を発揮しだした頃だった。春樹夫婦とその子供達も見返り桜荘とともに居を構えていた。
 麗奈は東京には戻らず、万三郎の手伝いで風雲舎に留まっている。子供たちの洗濯や料理。それに細々としたことを買って出た。ときには見返り桜荘の手伝いもこなした。
「若いのに、あんたはよく働くね」
「東京にいたときは部屋でじっとしてるだけだったのが、ここに来たら何だかやたらと体が動くみたいです」
「そりゃいい。健康にもいいしな」
「空気がいいせいですよ。陽太ものびのびしてきたし、いうことなし」
「でもな、ここではそうでも、実社会に出たら、また厳しい現実が待ってる。それをどう乗り切るか。大変なことだよ」
「えぇ。来年は高校だし。ここと環境もガラッと変わるでしょう。それが心配だけど、何とか自分で乗り越えて行くと思います。雨の日も雪の日も、皆とあんな遠くまで歩いて学校に通ってるし、きっと大丈夫」
 麗奈は自分に言い聞かせるように、陽太のことを万三郎にいった。
「確かに強くなったっていうか、線が太くなった。物事に動じることがなくなったし」
「そうでしょう。昔ならちょっとしたことで、登校拒否してたのに」
「山羊の世話とか、花畑を作ったり。そういうので変わったんだろうな」
「今は梶山さんと温泉のことを研究してるみたいです」
「ここらなら、多分掘れば出ると思う。そうすれば、春樹が介護してる年寄り連中も有難がるだろう」
 
 春樹は小倉に引っ越したことで独居老人達に弁当を配るだけでなく、ホームヘルパーとしても本格的な活動を始めていた。介護業者としての登録も勿論済ませ、専門のスタッフを五人雇っていた。それで一人につき三時間から四時間ほどかけて、身のまわりの世話を見させた。相変わらずボランティア同然で、介護保険料は最小限度で請求し、スタッフには月給で二十万支払っている。赤字分は喜左衛門と連結決算という形で補填していた。
 梶山が抜けた後の喜左衛門は女性だけの調理師だった。
その中に美紗緒が加わり、春樹は彼女に焼き物と揚げ物を徹底的に仕込んだ。鶏だけでなく、味のいい店に彼女をあっちこっち連れ立って味を覚えさせた甲斐あってか、彼女はその後独自の食材を使った物をメニューに加えて好評だった。たとえば牛蒡を摺り下ろして鶏皮のみじん切りを混ぜ、それを椎茸につめた物。鯰の白身を山芋の摺り身とパン粉でまぶした物などだ。
その美紗緒の夫に転任の辞令が出されたが、義男はそれを拒否してあっさりと教師を辞めてしまった。今では風雲舎で子供達に勉強だけでなく、世の中の仕組みを説いている。
由紀は浩二と所帯を正式に持った。だが、浩二は相変わらず移動販売車で鶏蕎麦を売っていた。まだ一歳とちょっとでようやく歩き始めた子供のためにも、飲み屋の亭主で落ち着きたくないらしい。
加代が結婚して海外へ行ったことで、芳江は再び一人で田舎っぺを切り盛りしているが、相変わらずの頑張りで店を拡張していた。
 
そういった者達が見返り桜荘に集まっている。それだけでなく、里子に出している家族も来て、一面雪野面の中で、ここだけは赤ちゃんの泣き声やカラオケなどで別世界だった。
幹事役の浩二はそろそろお開きにしようとマイクを握った。
「小さな子供達もいることだし、ここらで各自の部屋に戻るようにしたいと思います。その前に喜左衛門の・・・」
 そういうと春樹の長男の喜左衛門が、浩二に駆け寄ってマイクを奪った。
「僕喜左衛門。ドラエモンじゃないよ」
 やんちゃ盛りの喜左衛門に皆がどっと笑う。
「こら。お前はおどけてばかりだな」
「村井さん」
 そういう浩二に、春樹は逃げまわる喜左衛門からマイクを取り上げた。
「風腰駅の近くで便利なところからなぜここに来たかといえば、風雲舎のこともあるけど、万吉爺ちゃんが未開の地のあの風越を切り開いて蕎麦畑を耕したりしたのを聞いたことがあったからです。俺もここで、万三郎さんの開拓精神にあやかりたいって気持ちあります。叔父さんがなぜ山村留学をやりたくなったか詳しくは知らないけど、風越の分校が廃校になるのはなんとしてでも阻止したい。始めはそれだけだったけど、実際にそばにいて感じることがあった。雑木を一本ずつ切り倒したり山羊のために柵を作ったり、あの年でよくやるなって感心することばかり。自分が叔父さんの齢だったら、できないだろうってね。爺ちゃんが亡くなる前、俺によくいってたことがある。人間、欲をかきゃ恨まれる。だから、恨まれる人間になるなって。それは裏を返せば欲をかくなってことで、実際自分もそうしてきたつもりです」
 赤ん坊は寝静まっているが、春樹の息子達やそれにちかい年頃の子供たちは落ち着きがない。それを、親達はなだめながら春樹の話を聞いている。
「今の世の中は何でもかんでも、お金や地位で価値観を決めようとする傾向が強い。俺、そういうの大っ嫌いだ。こういうことをいうのはある程度お金があるからいうのかもしれないけど、ない人にも俺と同じ気持ちでいて欲しいと思う。それで、俺はワンダラーを敵にまわして田舎っぺを立ち上げたけど、その人たちは皆俺の気持ちに同調してくれて、今は野瀬も頑張ってる。そして今、ニュージーランドから加代ちゃんも駆けつけてくれて、俺は本当に、いい人間に恵まれてるって、感謝してる。それもこれも、きっとこの風越っていう土地で育ったからだと思う。途中で来た梶さんや義男さんだって、今じゃすっかり土地っ子になってる。里子に出した親達にしたら心配や気苦労も多いと思うけど、安心して下さいっていいたい。自分さえよけりゃいいっていう、そんな汚い人間にだけは、させない自信はあるんで」
「それだけじゃ駄目ですね。俺も一介の教師の端くれだったし、教育にかけては人一倍情熱を持ってるつもりです。純真無垢だけでなく、競争社会でも引けをとらない人格形成をしてみせますから」
「そうか。それもいいな」
 春樹は義男の酌を受け、乾いた喉にビールを流し込んだ。
「この義男さんが間違ったことを教えたときは、美紗緒さんに責任とってもらおう」
「えー」
 美紗緒が素っ頓狂な声をあげた。
「うちの旦那じゃどうなるのか・・・」
 皆がくすっと笑った。
「冗談冗談。義男さんなら、間違いないって。最後に俺の希望としていっておきたいことがある。いつかここを、風雲舎で育った人間や俺たちで理想の村にしたい。そのために土地を買い増しする。十町。つまり十万平米欲しいって、町にもいってある。それだけあれば、高校だって大学だって建てられる。否、学校よりも、ここを自給自足できる村にしたいんだ。そうすれば、厭な人間社会に出向く必要もなくなる。ここを、そういう村にしたい」
 
俺は酔ってるんだろうか?
いってることが皆に伝わってるのか?
 
春樹はいい終えてもマイクを持ったまま立っていた。
その彼にむけて拍手を送ったのは、一ヶ月前に入ってきたばかりの中里沙織の父親だった。彼は数年前田舎っぺが目の前にでき、夜逃げをしたワンダラーのオーナーだった。彼に続いて皆が春樹に拍手を浴びせた。
「ということで、今日はゆっくり休んで下さい」
「なんだい。いいこといった後に、それじゃしまらんなぁ。万吉親父が笑ってるだろ」
 瀧がいった。
「私は村井君を恨んだけど、こうして戻って来れたのも村井君のおかげだと思ってる。娘だけでなく、親子ともども宜しく頼む。ワンダラーのことなら任してくれ」
「そりゃ頼もしいや」
 春樹は子供達に格好良かったといわれながら部屋に戻ると、そのまま倒れ込むように眠りに陥った。
「お父さん死んだの?」
「馬鹿なこといわないの」
「お父さん死んだんだ」
 四人が心配そうに春樹の顔を覗き込んだり触ったりしてる。
「お酒を飲みすぎただけよ。あんた達は大きくなってもお酒飲んじゃ駄目だからね」
「うん。僕飲まない」
「僕も」
 四人がそれぞれにいう。
「でも、お父さんのように、立派な大人になって頂戴」
「なる」
 またまた四人の輪唱だった。
「さ、もう寝なさい」
 聞かん気の強い年頃だが、母の言葉に四人はいっせいに布団を被った。
 景子は居間でテレビを見ながら除夜の鐘が鳴るのを待った。結婚する前も後も、鐘の音を聞きながら酒を少しばかり飲み、それで一年の反省をし新年の計を考えるのが習慣だった。
「子供達はすっかり寝たな」
「あら。お芝居したのね」
「あぁでもしないと、あいつらうるさくて寝ないしな」
「本当ね。手がかからなくなった分、口が達者になったし」
「でも、可愛いもんだな、子供は」
「ねぇ」
「うん?」
「あなたも小さい頃は、喜左衛門みたいにお調子者だったの?」
「どうだったかな。爺ちゃんに、よくお灸してやるっていわれてたから、聞かん坊だったんだろうな」
「他の三人はあまり騒がないのに」
「長男てこともあんじゃないか」
 春樹はいつの間にか景子の徳利を口にしている。
「美味いな。こんな酒うちにあったか」
「陽太君のお父さんが持ってきてくれたって、さっきいったじゃない」
「そうだっけ?最後のスピーチのことで、頭いっぱいだったからな」
「あんなこといって、本当にできるの?」
「何だよ。女房が信じてくれなきゃ、やり甲斐ないだろ」
「だって、ここを理想郷にするなんて大言壮語みたいなこといってたのよ」
「大言壮語はないだろ。確かに理想だけど、万三郎叔父さんだって頑張ってるし、俺だって負けないでやるよ」
「野瀬さんがいうには、ワンダラーの反撃は激しくなってるっていうし」
「それに勝てばいいんだ」
「それはそうだけど、いつまでも思いどおりにいくとは限らないわよ」
「これから新年迎えるっていうのに、夫婦喧嘩はよそうって」
「喧嘩じゃないのよ。現実のことをいってるの。皆にあんなこといって期待持たせた挙句、うまくいかなかったら笑い者になるのよ」
「分かってるって。それより、これをもう一杯飲ませてくれないか」
「もう、飲みすぎなのに」
 春樹夫婦の新婚気分はとっくになくなり、妻の権限がいささか強くなっているようだった。
 景子が何本目かの燗をつけた頃、ようやく除夜の鐘が鳴り始めた。
「今年もいい年だといいけど・・・」
「厭な世の中だけど、ここだけはいいところにするんだ。露天風呂でも入るか」
「やめてよ。凍え死んじゃうわよ」
「死んで堪るかって。景子と四人の子供がいるのに」
 そういうと、春樹はさっと立って部屋を出て行った。
 春樹は誰もいないかと思ったが、梶山が風呂に入っていた。
「お疲れさん」
「あ、おめでとうございます」
「お互い、いい年にしたいもんだな」
「これからは村井さんに頼るだけでなく、提案できる人間になりたいって思ってます」
「いいことだ。俺も、誰かに縋りたくなるときあるし」
「本当ですか?」
「嘘いってもしょうがないじゃないか」
「ですよね」
「梶さんにも助けてもらうときがくるかもしれない」
「こっちみたいな人間に何ができるか分からないけど、そのときには役に立ちたいです。命の恩人だし」
「そのときは頼むよ」
 梶山は黙って頷いた。
 そこへ万三郎が入ってきた。
「先客がいたか」
「寒いのに、内風呂入ればいいのに」
「なぁに。昔の冬はこんなもんじゃなかった。銭湯もない時代はたらいに湯を入れて身体を洗った俺だ。こんなんでくたばるかって。それより、春樹。お前がさっきいったのは酔ってたからじゃないだろうな」
「理想の村にするっていうこと?」
「あぁ。俺は、お前じゃないが、ここをユートピアみたいにしたいんだ。お前のいうことが本当なら、願ったり叶ったりだがな」
「嘘じゃないさ。だから町に土地の買い上げもいったし」
「そうか。それなら心強いな。親父は大言壮語を言う癖があったからな」
 春樹は女房と同じことを万三郎からいわれ、舌打ちしたくなった。
「有言実行だって」
「頼むぞ」
 夜空でも雲の姿ははっきりと分かり、それが形を変えながら風で流れていく。
「雲っていうのは風で変わる。まるで、親の言いつけのように変化していく。子供っていうのはそうでなくちゃな」
 万三郎はそういうと風呂から出て行った。
 雲は次から次へと月の明りを受けながら流れて行った。

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スレッドテーマ:小説・文学 自作連載小説
昨夜は久しぶりに友人と酒を酌み交わしました。
ま、話すことといえば時事問題から旅についてのことが多いんですが、今回は昔のテレビのことで大いに盛り上がりました。
ということで、私がよく見ていた日曜の夜の番組をYou Tubeで紹介したいと思います。

日曜の夜は藤田まことさんと白木稔さんのコンビが織り成す珍道中の「てなもんや三度笠」から始まり「シャボン玉ホリデー」を見ることが多かった。
ロス・インディオス・タバハラスのロマンテイックなメロディがエンディングに流れると、ザ・ピーナッツがクレージーキャッツのハナ肇さんに肘鉄を食らわすシーンで終わる。

その後は「アップダウンクイズ」でロート製薬提供のクイズ番組。
マリー・アスキューという当時14歳だったハーフの女の子をつかった「なみだロート」のコマーシャルが好きで、この番組をよく見ていた記憶があります。
 また、クイズの問題を読み上げる佐々木絵美さんは綺麗で初々しかった。

8時からは夏木陽介さん主演の「青春とはなんだ」です。
夏木さんはこの青春もののドラマ以降はあまりテレビに出ることはなかったんですが、「太陽野郎」や「Gめん75」だかに出演してましたね。そしてパリダカールラリーで脚光を浴びたのが懐かしく思い出されます。
そして、夏木さんの相手役の藤山陽子さん。
私が女性として初めて意識した人ということもあり、凄く好きな女優さんですが、人気絶頂の頃に引退してしまい、マスメディアに登場しません。
お嬢さんのような感じで、舌足らずな話し方が印象的な美人です。
下の画像の中央が藤山陽子さんです。
これを見て、オヤッと思う方がいるのではないでしょうか・・・
そうです。
このブログのプロフィール欄につかってる画像も藤山陽子さんなのです。
お気づきでしたか?
あの人は今?のような番組に、是非出ていただきたい方です。
蛇足ですが、私は画像左端の木村豊之さんに似ているとよく言われたものです。

青春とはなんだ


10時からは「ナポレオンソロ」です。
ロバートボーンはこのドラマでの配役とは好対照で、政治家になるんではないかといわれた俳優ですが、今はどうしてるんでしょうか?
デビッド・マッカラムの先妻はジル・アイランドで、後にチャールズ・ブロンソンと再婚しました。














 
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2 衣食足りて礼節を知る
 
 村井春樹は田舎っぺを野瀬健太郎に任せている。その野瀬がが田舎っぺの社長に就任して一年が過ぎた。
 この間に野瀬は物流の後方支援を充実させることに苦心していた。全国各地に点在する七百余りの店舗に商品を提供するのは、思ったより大変なことだった。
 田舎っぺで扱う食材は焼鳥、ホットドッグ、ハンバーガーにおでんなど、ほとんどが肉と野菜だった。これを田舎っぺ本部が他の多くのコンビニやスーパーがやってるように自社の物流設備を確保し、それを各店舗に配送するとなれば赤字になってしまう。いくら七百店舗で食材の取り扱い量が多いといえども、売価が安すぎるからだ。それでどうしたかといえば、各地で安くて新鮮な食材を提供してくれる業者を探した。それはネットであらかたの情報を仕入れ、営業社員を現地へ行かせて交渉させた。その結果店舗の経営者自らが取りに行くということで、仕入れコストを切り詰めさせた。他には、じかに取引してくれるメーカーの開拓だった。
 そういう野瀬の苦労があってか、去年の純益は二億円を越えた。
「たいしたもんだよ」
「野菜はほとんどが各店舗で調達してるんで、大して儲けはないけどな」
「それでいいんだ。ほとんどが地方で新鮮なものが安く手に入る。それを田舎っぺが売らんがための商売したら、皆からそっぽを向かれる。オーナー達が独自に仕入れできるなら、それに越したことはないな」
 田舎のことだから近くには農家があるだろう。そこでは出荷できない野菜が捨てられるか、無人売店で一山百円ぐらいで売るしかない。そういうものを手に入れておでんにしたり調理パンの添え物にすることは、農家にとっても利益に繋がり一挙両得ということになる。
「で、今は魚を商品にしようって、皆と考えてる」
「海沿いならいいけど、山国はなかなか難しいだろうな」
「あんなに安かった鰯が高級魚になったしな」
「何かいい方法がないか、俺も考えとく」
 春樹は野瀬の報告を受けた後、酒を飲みにさらし野へ行った。
「二人揃ってなんて珍しいわね」
「まだそんなに目立たないな」
「三ヶ月ちょっとだし」
「それにしてもさ、浩二と、いつどういうふうにして、こんなことになったのか聞きたいもんだ」
「やーね。村井君ったら」
「俺も聞きたいよ」
「いいじゃないの、そんなこと」
 梅雨を思わせるようなじめじめした陽気が続き、由紀は水浅葱にピンクの朝顔をあしらった縮緬の浴衣を着ている。後ろ髪をアップにしたうなじから背中にかけては、肌が大きく露出していた。その彼女がカウンター越しで客に酌をすれば、ほのかな化粧の匂いが漂う。そればかりか大きな胸元が開き、そちらに目を奪われそうになる。
「浩二の奴。由紀のこの色気に参ったんだろうな」
「おかしなこといわないでよ」
「由紀は昔から大人びて色っぽかったからな。俺だって、村井がいなきゃ付き合いたかったよ」
「なにいってんだかね、二人とも」
「美味いな。鯵か?」
「そうよ。千葉の漁師料理でナメロウっていうの」
「刺身をみじん切りにして味噌で味付けか・・・。これにちょっとつなぎの小麦を入れて、つくねにして焼いてみてくれないか」
 由紀は大葉とネギを細切れにして混ぜたものと鯵だけのもの。それに椎茸を合わせた物と三種類焼いた。
「これならいけるな」
「うん。合わせるもので味はかなり変わるけど、焼き方しだいでジューシーにもなるし」
「焼鳥みたいにするのもいいけど、ハンバーガーのパテにもなるぞ」
 春樹の思いつきに、野瀬が頷いた。
「やっぱり、俺と村井とでは物の見方が違うっていうか、観察眼が凄いよ」
「何の話?」
「田舎っぺで魚をつかって何かできないかってことだ」
「へー。飲みに来てるっていうのに、二人とも商売熱心なこと」
「そんなことないけど・・・。ただ、どうしても仕事に結びつけちゃうっていうか・・・。悲しい性格だよな、俺って」
「四つ児じゃなきゃ、まだ甘い新婚生活なのに、可哀想なもんだ」
「だろう。俺って、ついてないよな」
「なにいってんのよ。四十過ぎてから、あんなに若くて美人の奥さんもらっておきながら。そんなこというと、罰あたるからね。こんなおじさんと一緒になった奥さんのが、よっぽどついてないわよ」
「ひでぇーいいかた。俺の息抜きはここしかないっていうのに」
「奥さんは息抜きなんてしてないんじゃないの?それなのに、全部奥さんに押し付けて、自分は息抜きなんて、ずるいよ」
 由紀がいうほど、春樹は女房に何もかも押し付けてはいない。子供達を風呂に入れるのは彼がやっていたし、オムツの交換もした。時にはミルクをつくったりもしていたが、酒を飲みに来て、そんな私生活の細部を話す気にもなれない。それで、彼女にいわせ放題にしている。
「それはいいすぎだな。由紀だって、村井の仕事熱心さは知ってるはずだ。いや、仕事だけじゃなく、何でも真面目だ」
「そうだけどさ、たまには奥さん孝行してあげなさい、ってこと」
 
 さらし野から戻った春樹は子供達の寝顔に目を細めている。
「あまりお酒の息、吹きかけないで」
「そうだったな」
「まだ飲み足りないんじゃないの?」
「そうだな。一緒に冷酒でも飲もうか」
「そうね」
 二人が結婚して二年半。
酒を注ぐ景子の手は、洗濯や店の荒いものなどで脂っけがぬけて皺が多くなっていた。
「来月は誕生日だな」
「うん。もう三十になるのね。早いな」
「もうじゃなくて、まだ、三十だよ」
「ものはいいようね」
「そうか?誕生日には新婚旅行しよう」
「行きたいけど、子供達がいて大変だし・・・。もう少し大きくなってからでいいわよ」
「今しかできないことがある。先延ばししてると、今できることもできないんだって」
「何?今しかできないことって」
「旅行じゃないか」
「だから、この子達を連れて旅行することがどれだけ大変だか、分かるでしょう」
「二人っていうのは、楽しいことは二倍。辛いことや大変なことは半分になる」
「理屈はそうだけど」
 春樹は旅に出たかった。
 景子と知り合ってから一緒に行ったのは、田舎っぺを立ち上げて視察を兼ねて新潟や福島などだが、旅行には程遠いものだった。子連れで新婚気分は薄れるだろうが、それでもどこかに行きたいと思う春樹だった。
 風呂上りの景子の顔といい首筋。それに手の甲までが赤く染まっている。その彼女の肌に久しぶりに触れた春樹は、何もかも忘れて一心不乱になった。彼女も子供達が起きるのではないかという心配をよそに、半狂乱の嗚咽にわなないた。
 景子はシャワーを浴びるとすぐに寝たが、春樹は湯舟の中にビールを持ち込んでいる。
 金はある。気立てがよくて美人の女房もいる。さっきのように、毎晩歓喜の海に漕ぎ出すこともできるだろう。いや、それはしてきてたが、さすがに毎日というのは気がひけた。ひけすぎて、今夜は二ヵ月ぶりだっただろうか?
 それはともかく、何かが足りない気がしてしょうがない。夫婦とか家族なんて、所詮こんなものなのかもしれないが、これでは独りでいるときと、心情的に変化がないように思えてしかたのない春樹だった。たまに外で酒を飲むとしても、梶山や野瀬で顔ぶれはいつも同じだった。飲みながら馬鹿話もするが、仕事の話になることが多かった。
 これが夫婦の倦怠期って奴か?否、そうじゃない。俺自身の倦怠期なんだ。
 春樹は飲み足りないビールをさらに持ってきては、寝るような格好で湯船につかりながら飲んだ。
 
 万三郎は何とか三科暢を説き伏せ、町の提示額で土地を売却した。そして、町営住宅予定地だった風越字小椋の山林五反を格安で手に入れた。
「それにしても、あの三科がよく手放したもんだね」
「三千万のうち二千万やるからっていったんだ。俺が三反であいつは一反だろ。いくら強欲な奴でも、俺がこれだけ泣くんだから、あいつだって折れるしかないだろ」
「へー。それにしても叔父さん。あんな山奥で何する気なの?」
「これといってどうこうする気はないけど、今のところから逃げ出したいだけだった。昔を知ってる人間なら誰でもそうだろうが、あそこは、あまりにも変わりすぎた」
 万三郎は遠海町役場から少し離れたところで農業を営んでいた。
 村井万吉は五人兄妹の総領として蕎麦や白菜の栽培を両親とやっていたが、戦争が終わってみれば弟二人は戦死し、田畑は荒れ放題で農家としてやっていく気になれなかった。それでも万三郎は両親と万吉から引き継いだ三町の田畑を蘇らせようと必死だった。土を掘り返して肥料を撒き、何とか収穫できるようになったのは昭和三十五年頃だった。このとき、両親は戦争の苦労で長生きすることなく息絶え、妹は九州へ嫁ぎ、身近な親族は万吉一人だけとなった。その万吉は風越駅前で萬屋を始めていた。
 万吉はこれからは農家じゃ食っていけないとよくいっていたが、万三郎は土いじりが好きだった。種を撒けばやがては芽を出し成長していく。収穫するまでは大変な労力だが、そういった日々の過程を見ているのがなんともいえず好きだった。まるで我が子を育てている感じなのだろう。実際、彼は三人の子を儲けたが皆女ばかりで、それも今では孫もいる。妻は既に他界し、悠々自適な暮らしとまではいかないが、これまでに田畑を切り売りしてきた金もあり、自分一人が生きていくには十分すぎる蓄えがあった。だが、腹違いの暢に無心され、それも今では二千万ほどしか残ってない。
 池田隼人から田中角栄内閣までの高度成長期時代。農業は手作業から機械に変わり格段の進歩を遂げたものの、万三郎は相変わらず昔ながらの有機肥料栽培に固執していた。鶏糞や人糞を撒けば、建て込んできた住宅から苦情が出るという塩梅だった。やむを得ず化学肥料に切り替え、作付面積も縮小してわずかばかりの耕地を持っていたが、周りの沿道にはビルも建ち始め、農業を続ける環境ではなかったし、彼自身の体力も衰えてその意志も弱くなっていた。
 人間六十も半ばを過ぎれば、いい加減厭になってくるというものだ。自給自足ではないが、自分が食べる分だけの作物を耕しているそばで、ストリップ小屋やパチンコ屋の宣伝カーが通って行く。兄の万吉と違い生真面目な万三郎はそういうのが耳障りで、時には鍬を投げつけてやりたくなる性分だった。
 
その彼が山林を切り開いて住みたいという気持ちは、春樹にもよく分かる。
「今、どこの地方でもそうだが小さい子供が少なくて学校が廃校になってる。それで、里親になってだ、風越の役に立とうかなんて分不相応なことも考えるんだがな・・・」
「叔父さんらしいや。山村留学か・・・」
「あー。それだ」
「皆が春樹みたいに子沢山なら風越の分校も心配ないが、ここだって子供の数は増えないしな」
 平成の市町村大合併。そして文部科学省による公立学校の統廃合により、風越でも小学校と中学校が一緒にされたばかりだった。それでも児童数は三十人にも満たず、廃校になるのは目に見えていた。
「無学だったから畑やるしかなかったが、これからは農業だって馬鹿じゃできない」
「馬鹿じゃできない・・・」
 春樹は万三郎の言葉を鸚鵡返しで呟いた。
 そこに梶山夫婦が訪ねて来た。
「どうしたんだい?こんな時間に一緒に来るなんて」
「ゴールデンウイークが終わったらさっぱりで」
「そういうときもあるって」
「ちょっと旅行でもしようと思って」
「いいねぇ。行ってくればいい」
「あなたも行きたいのよね」
「お前が行きたくないっていうんなら、しょうがないだろう」
「行きたくない訳じゃないけど、子供四人もいたら疲れるだけでしょう」
「それはそうですよね」
「で、どこへ行くんだい?」
「波流美が前に行った九州がいいっていうんで」
「別府なんだけど、安くていい湯治宿なんですよ。そこで、旅館の勉強も兼ねて」
「いいじゃないか。ま、ゆっくりしてきなよ」
「別府なら俺の妹がいる」
「そうでしたか。それなら、何か言付けでもしてきましょうか」
「や、あんたらは夫婦水入らずで楽しむがいい。こっちは改めて行くとするし。ただ、ひとつだけ頼んでいいかな」
「何ですか?」
「別府から由布院のほうに行けばかなりの田舎だ。そこらの学校がどういう状況だか見てもらえればと思ってな。ま、写真でも撮ってきてくれりゃ有難いがな。あっちまで足を伸ばせばの話で、無理に行かんでもいいし」
「分かりました。写真ならたくさん撮ってきますよ」
「ついででいいから」
 万三郎がそういって帰った後、春樹は山村留学のことをそれとなく梶山に話した。
 
 さらし野で食べた鯵のナメロウを商品化するため、野瀬は千葉県の九十九里に出向いて色々調べた。調理はいたって簡単で、切り身を包丁で叩いてみじん切りにし、それに大葉やネギと味噌や醤油と味醂で合わせるだけだった。さらに、それを焼いたものがサンガということも知った。
 漁業組合が紹介してくれたのは廃校を利用した翔蛍庵という宿だった。
「懐かしい。木造校舎なんて、いまだにあるのね」
 野瀬の妻である結衣は、下駄箱からスリッパを出しながら感激していった。 岐阜育ちの彼女は木造校舎で学んでいたのだ。
「泉や遠海にもなかったな」
「そうよね。子供達は皆鉄筋コンクリートの学校だったし」
 廃校になってまだ間がないのか、通された教室の机や壁などに残されている落書きが新しい。窓際を仕切ったところが客室で、ガラス窓が風で揺れている。そこからは校庭が見え、暮れなずむ空にドボルザークの新世界が響き渡っているような気配だった。
 野瀬は小学校時代を思い出しながら、鉄棒やシーソーなどの遊具を見つめている。
「ここに通ってた子供達は、今何してるんだろうな」
「漁師や農家が多いんじゃないかしら。それに都会に出て、サラリーマンやってる人もいるかもしれないわね」
「ここで仕事してるほうが幸せだと思うけど、そうもいかない事情ってもんがあるし」
 夕食は玄関脇の中庭でバーベキューだった。鰯や鯵だけでなく鯛の塩釜焼きに、もちろんナメロウにサンガ焼きもあった。それだけでなく、安く入手できたといって、鮑も焼いてくれた。
「七千円でこんなに出してくれていいんですか?」
「魚は地元で安いから、お客さんはそんな心配しなくて大丈夫ですよ」
「それにしても新鮮で美味しい」
「山梨じゃ海がないから、こんな美味い魚はそう手には入らないでしょうね」
「えー。川魚ばかりで」
「岩魚や山女ですね。渓流魚もよほど山奥に入らないと、なかなか釣れんでしょうな」
「鱒なら養殖ものがけっこう釣れますけどね」
「それじゃ味がないし。魚っていうのは、プランクトンや海草を食べてるからこそ、私達の口に入って旨味がある。養殖ものには、それがないんじゃないですかね。鯛やハマチにしてもそうだけど。日本の魚介類の二十五パーセントは養殖だっていうし、漁業も変わったもんですよ」
「ここにはどれぐらいの生徒がいたんですか?」
昭和三十年代のときは三百人ぐらいいたけど、その後は減る一方で、廃校間際のときは二十人足らずでした。二百海里問題やオイルショック。漁師も年々減っていくし、農家だって減反でやめる者も多くてね」
 宿の主は漁協を退職した六十歳代の男で、町から業務委託を受けているという。人のよさそうな主夫婦は話しながらも、一組しかいない野瀬夫婦に酌をした。そして、食後は裏の田圃に現れる蛍を見に連れて行った。
 野瀬は帰路で、妻に魚で何かいい料理ができるか聞いていた。そして、帰宅後は結衣に早速いくつか試作させたが、知名度の高いサンガを串焼きとホットドッグとして商品化することにした。
 その夫婦の元に手紙が届いた。差出人は廃校の宿翔螢庵からだった。
 内容は、結衣が撮影した翔螢庵や付近の画像をメールで送ったことに対する礼状で、拙いホームページに花が咲いたようで有難いものだと書かれていた。その翌日には味醂干しまで届けてきた。これには結衣も吃驚し、メールでは失礼だとばかりに礼状を添えてワカサギの佃煮を送った。
 そんなことを野瀬が喜左衛門に行って話すと、万三郎が衣食足りて礼節を知るだなといった。
「俺だよ。それをいうなら、俺のことだよ」
「確かに、春樹もそうだな。爺さん婆さん達に弁当配ってるしな。俺もお前に負けずにやらんと」
 万三郎は蕎麦湯で焼酎を飲んでいる。揚げ出し豆腐をつまむ手と顔は赤銅色で皺が多いが、健康そのものといった風体だった。
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もしこのブログで掲載した「風越峠」を映像化するならと、とんでもないことを空想しながら書いていたんですが・・・

村井春樹  筒井道隆
春樹の妻  稲森いずみ
村井万吉  大滝秀治

梶山三郎  筆者自身(つまり私です)
三郎の妻  国分佐智子

野瀬健太郎 森脇健児

加代    松本若菜
美紗緒   白石美帆
美穂    加藤あい

芳江    鶴田真由
由紀    森口瑤子

柳下浩二  山本耕史
耕治の父  小日向文世

吉村    中井正弘
青木    小野武彦
敬称は略させていただきました

こんなキャスティングを考えながら、「風越峠 見返り桜編」を書き上げました。
ま、空想す