空想は小説より奇なり

自作小説の連載です 立ち読み大歓迎です
その気になれば細分化も可能

北島康介北京オリンピックで金メダルを獲得したそうだ。
なにはともあれ、おめでとうというべきなのだろうが・・・

柔道女子の谷亮子や中村美里も、金ではないが銅メダルを獲得している。
中村美里に関しては金以外は皆同じとばかりに、金メダルに固執していた。

スポーツ選手にとって勝つことが最大の目的なのかも知れないが、テレビで見る彼女の憮然とした表情に、私は違和感を持ってしまった。

スポーツだけでなく何事においても、自分と他人を比較することは日常茶飯事である。
生を受けてからというものは学業だけでなく、社会にでれば出世競争が待ち受けている。
そればかりか、趣味の範疇であるはずのブログでさえ、訪問者集めのために、SEO対策やランキング参加などあの手この手でアクセスアップを図る。

私はそんな競争に敗れても、自分の実力はこんなものか!
何とかしなきゃなとも思うが、至って鷹揚に構えている。
なぜかといえば、負ける前から自分のすべてを出し切ったなら、その結果を受け入れるほかないからだ。
悔しがったところで自分が惨めになるだけで、仮に自分が中村里美の立場だったなら、ああいった悔しさを公衆の面前に晒すことはないだろう。
それよりも、勝者を讃えるに違いない。

北島康介闘志をむき出しにし、そして手にした金メダル。
そんな彼を賞賛する人は多いと思う。
だが、これまでメディアなどで見た限りにおいて、私は彼のような人間を好きになれない。
極端なことをいえば、勝ちたい、勝ちゃぁいいんだという、相撲の朝青龍にも相通じる態度に見えてならないからだ。

これまでのオリンピックでメダル受賞者が残した言葉で、

岩崎恭子のこれまで生きてきた中で一番幸せです。

有森裕子の自分で自分を褒めたい。

高橋尚子の凄く楽しい42キロでした。


彼女達の爽やかなその名台詞に、私は心から拍手を送ったものだが、今ではありとあらゆる人間の人格がどんどん変わってきてるので、今の人たちにこういった言葉を求めるのは、もう不可能なのかも知れない。

彼女達以外に、忘れてはならないのが原田雅彦である。

「原田選手が笑った顔は僕にそっくりです。僕も原田選手のように鳥になりたいです。おめでとう」
「私たちは皆、あなたの笑顔に励まされています」

立て立て立ってくれ!立ったー

実況の工藤三郎アナウンサーが、悲願をこめながら絶叫した長野冬季五輪。
このアナウンサーはリレハンメルでも実況していたという。それだからこそ、原田に対する入れ込みがあったのかも知れない。
この4年前のリレハンメルの団体戦では2位を大きく引き離して、ラストに登場した原田選手。
誰もが優勝間違いなしという場面で、彼は失速してしまった。
その雪辱を晴らすかのような大一番。
しかも、1本目は猛吹雪という悪天候もあったが、
リレハンメル同様失敗ジャンプに終わっていた。

「高い高い今度は高い・・・別の世界に飛んで行った原田」

原田は137mという飛距離だった。
「舟木ぃ」
大ジャンプを終え気抜けしたような原田は、ラストの舟木に託した。

その舟木も大ジャンプだった。

「やったぁー。やったー」
「俺じゃないよ。チームの皆がタスキを渡しあって取ったんだよ」


泣きながらいう原田はリレハンメルの雪辱を果たしたというより、チームの皆を讃えていた。
その原田のアンダーシャツと手袋は、リレハンメルのメンバーだった西方と葛西の物だった。

武士道にも通じる原田という人間に、私は喉と胸が熱く、苦しくてしかたなかった。

金メダルの北島康介
銅メダルの中村里美。
この二人は個人と団体という違いあるものの、原田のような奥ゆかしい競技者としてだけでなく、人間としても、彼の人となりを真似て欲しいと思った。
この二人や、その周囲の人たちは私のこの呟きを、何をいってやがると思うかも知れないが、
あくまでメディアを通じて感じたことを書いたものであり、二人を批難中傷するものでないことを最後に記しておきます。
また、敬称は略させていただきました。

白馬ジャンプ台
1998年2月17日。
3万5千人の大観衆でうずまった白馬ジャンプ台。
そのとき、原田が2本目の大ジャンプを飛ぶ前に、彼の奥さんは、赤ちゃんと共にジャンプ台を後にしていた。
また悪夢の再現かと思ったのだろうか・・・
その場所へ、観衆がいなくなった2年後に訪ねてみた。

見上げればかなりの勾配だ。
これを上から見おろせば、恐怖感を覚えるのは間違いない。
吹雪で、しかも一本目を失敗してるというプレッシャー。
そういう状況で日本に金メダルを授けた原田、葛西、斉藤、舟木の4人。
遥昔の札幌オリンピックで、金銀銅メダルを独占したジャンプ陣を思い出させてくれたものだ。

虹の地平に歩み出て 影たちが近づく手を取り合って
街ができる 美しい街が
あふれる旗 叫び そして歌
僕らは呼ぶ あふれる夢に
あの星たちの間に 眠っている北の空に
君の名を呼ぶ オリンピックと
 


虹と雪のバラードを思わず口ずさんだものだ。

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